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ツアーレポート

2019年3月前半の伊豆ダイビング、高水温継続中。

更新日:

高水温が継続中

3月だというのに、水温は15度から、場所によっては18度という異常な水温。この18度は黒潮が入ったことによるものだとしても、とにかく15度以上もあるのはかつてない程の高水温です。

ちなみに、これまでの伊豆はというと、2月後半から3月前半位が最低水温になる時期で、年によっては12度台とか、通常でも13度台には落ちていました。それが今年は15度以上ある日が多いのです。

たった2度、3度の違いですが、この違いは生物にとってはもの凄く影響のある大きな差なのです。

伊豆の海

伊豆の海

ダイビング的には良いのですが・・・

水温が高いのは、ダイビングを楽しむうえでは良い事もたくさんあります。何といっても寒くない!ですがその前に、ダイビングについての話は後回しにするとして、漁業に与える影響も大きいようです。

水温が上がってきているのはもう何年も前から感じていることですが、その度に良く聞かれるのが、「海藻が生えない」という話し。伊豆では海苔やワカメ、昆布、ヒジキなどが採れます。これらの海藻類は低水温のこの時期になると生えてきて、水温が高くなってくるにつれて消えてなくなっていきます。これが毎年繰り返されている訳ですが、水温が低くなる時期に低くならないために海藻が生えてきません。

海藻が生えてこないと、それらを餌にしているサザエなどの貝類やウニ、ナマコなどの成長にも影響するわけで、漁師さんにとっては死活問題。また、魚の生息域も変わってきてしまいますから、それまで獲れていた魚が獲れなくなり、代わりに普段口にしない市場価値の無い魚が増えてしまうという状況に。やはり漁業を考えると、水温が低くなる時には低くなってもらわないと本当に困ります。

ダイビングにはメリットが多い?

さて、私たちダイバーにとっては、やはり水温が温かいことは良いことがたくさん有りますね。水温が12度だと、かなり寒いです。もちろん個人差がありますが、私は12度だと40分潜ると結構寒く感じてしまいます。これが、15度以上あると全然違って、ほとんど寒さを感じることは有りません。1時間くらい潜ってもそれ程冷えることは有りません。16度あればやる気満々(^^)

生物的にも、今年は本当にびっくりするような環境変化を見ることができました。海水温が高いままだと、多分サンゴ(造礁サンゴ)の生息域が広がります。

エダミドリイシ

エダミドリイシ

テーブルサンゴもかなり増えていますし、エダミドリイシもこの時期にしては緑が濃くて元気に見えます。

かつて無かったできごと

先日福浦で潜った時の事。今の時期はダンゴウオが人気なので、それを見ることがメインでしたが、個人的には密かに期待していたことが有りました。それは、「オヤビッチャとダンゴウオの生息」です。

オヤビッチャは南の島にたくさんいる魚で、伊豆にも夏から秋にはたくさん流れてきます。でも、冬になると低水温に耐え切れずにいなくなってしまいます。逆にダンゴウオは北の方にいる魚で、伊豆には一番水温が下がるこの時期になると見ることができます。

2月の中頃にダンゴウオ狙いで福浦へ行った時には、まだダンゴウオは発見されていませんでしたが、なんとこの低水温の時期なのにオヤビッチャが一匹頑張ってました!その頃から密かに思ってました。

「ダンゴウオとオヤビッチャが同時に見れる!?」

自分の経験の中ではこの2種がダイビングで同時に見られたことは有りませんでしたから、ちょっと楽しみにしていました。

そして前回、3月初めの福浦ツアーで両方確認!

ダンゴウオがいるのは普通の光景でも、この時期にオヤビッチャが頑張ってるなんて本当に驚きです。

伊豆全域でも、この時期には居ないはずの生物達がたくさん見られていて、ミツボシクロスズメダイやミナミギンポ、トゲチョウチョウウオ、ハタタテダイ、アカシマシラヒゲエビなど南方系の生物がたくさんいます。かつてこんな事は有りませんでした。

このまま来年以降も高水温が続けば、南方系の生物が流されてくるのではなく、伊豆で繁殖する可能性もありますね。

アカシマシラヒゲエビ、3月9日獅子浜で撮影。

ハタタテダイ

ハタタテダイ、3月9日獅子浜で撮影。

トゲチョウチョウウオ

トゲチョウチョウウオ、3月9日獅子浜で撮影。

こんな風に造礁サンゴが増え、南の生物が増えていけば伊豆の雰囲気もガラッと変わり、高水温でダイバーも増えるかもしれませんね(^^♪

でもやっぱり伊豆の海は・・・

水温が高いのは本当にありがたいことで、ダイビングが楽になりますし、誰でも快適に潜れる方が楽しいと思います。

でも、こういう高水温はやっぱり一時的なものであってほしいとも思います。

伊豆の海には季節感があります。夏にはたくさんのダイバーが増え、そして南方系の生物もどんどん増えてきます。そして秋には人気のある、珍しい生物がたくさん増えて、水温や透明度も安定して楽しく気持ちよくダイビングができます。ダイビングのベストシーズンですね。そして冬から春先の海は冷たいけれど、ダンゴウオやアンコウなど、冬にしか見られないサカナたちが出てきたり、ウミウシも増えてくる季節。

初夏にはアオリイカの産卵が見られたり、小魚の群れが見られたり。

海の中に季節感がはっきり感じられるところが伊豆の良いところかなとも思います。

海藻が生えてこないと困ることもたくさんあります。海藻は、それを餌にしている生物がいて、それだけではなく、海藻にタマゴを産み付ける生物もいたり、小さな生物達の隠れ家にもなります。

それに何より、美味しい伊豆のワカメが食べられないのは困るし、福浦の昆布オーナーの企画も出来なくなってしまうし(-_-;)

そんな訳で、やっぱり高水温が続くのは困るという話しでした!

 

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